2020.03.13

雨引山楽法寺/雨引観音(あまびきさんらくほうじ)

雨引山楽法寺/雨引観音(あまびきさんらくほうじ)

 中国から来日した法輪独守居士によって587年に開かれた古刹。本尊は、国の重要文化財に指定されている延命観世音菩薩。8世紀、聖武天皇が光明皇后の安産を祈念し、霊験あらたかだったことから、安産・子育ての寺として信仰されています。
154段の厄除けの石段を登ると、豪壮な彫刻が施された仁王門。その向こうの境内には、江戸時代に建立された優美な観音堂や多宝塔、鐘楼堂……。樹齢推定400年の杉、樹齢推定1000年の椎などの霊木もあり、歴史的風格が感じられます。また、境内には孔雀や烏骨鶏など聖なる鳥も多く放たれており、その姿を愛でるのも楽しいものです。
さらに、境内からは、関東平野が一望でき、手前に筑波山、遠くに富士山を望むみごとな絶景が広がります。春は桜、初夏は紫陽花、秋は紅葉の名所としても愛されています。
そして注目が、毎年4月の第二日曜日に行われる「マダラ鬼神祭」。馬に乗ったマダラ鬼神が石段を駆け上り、鬼達が踊り、鬼神が破魔矢を発遣する様は、なんとも勇壮で見応えがあります。

 

 

また、安産や子育てにご利益があるとされており、そこには数羽の孔雀が放し飼いされています。春先にはその美しい姿で訪れる人たちの人気の的、趣のある境内の中を優雅に闊歩する姿は、まさに、古の日本絵画の中の風景のようです。
そもそも、孔雀が日本に伝わったのは、6世紀末。推古天皇の治世に、新羅から献上されたのが最初と伝えられています。その優美で幻想的な姿は、絵師たちの創作意欲を掻き立てたようで、安土桃山時代の絵師・狩野永徳の「桜と孔雀」をはじめ、絵師集団・狩野派による御殿や寺院の障壁画に、孔雀はよく登場します。また江戸時代の絵師・伊藤若冲や円山応挙もよく描いています。
ちなみに、こちらで放し飼いにされているのは、孔雀だけでなく、烏骨鶏に尾長鶏、家鴨、鴨、鶏、ちゃぼ……。そう、最近、日本でことに注目を集めている伊藤若冲の絵画そのままの世界のよう。ぜひ、一度、ご覧ください。

【住所 桜川市元木1  拝観時間 8:30~17:00】

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