2019.12.13

仁和寺

代々天皇や皇族が住職を務めた高貴な寺院仁和

金閣寺から続く全長約2.5kmの「きぬかけの道」にある仁和寺(にんなじ)は、平安時代初期の888年、宇多天皇によって創建されました。明治期までは、代々皇族が住職を務める「門跡寺院」(もんぜきじいん)だったことから、伽藍建築や庭園に優美な宮廷文化の趣が感じられます。鎌倉時代の随筆集「徒然草」にも登場する

 

寺院です。

 

  • 見どころ

創建当時の建物は、応仁の乱で全焼してしまいました。戦火の中、何を逃れたのは、本尊の阿弥陀如来のみ。現在残る伽藍などは、江戸時代初期、徳川幕府によって復興されたものです。広々とした境内のなかには、そのころ移築されたり、建立された国宝、重要文化財の建造物が並びます。

 

・「金堂」は、旧御所の儀式などを行う宮殿、「紫宸殿(ししんでん)」(天皇が公的な行事や儀式を行う場所)を江戸時代初期に移築したもので国宝に指定されています。宮殿から仏堂への変更にあたり、屋根を檜皮葺から瓦葺に変えられましたが、宮殿建築の雰囲気を残しています。通常内部は非公開。本尊の阿弥陀如来が安置されています。

 

・「二王門」は、江戸時代初期の1641~16

45年に建てられた、高さ18.7mの重厚な門。平安時代の様式を受け継ぐ和様建築で、重要文化財に指定されています。

・「五重塔」も重要文化財に指定されています。1644年に建立され、高さ36.18m。各層の幅に差がないのが特徴です。

 

 

・「御影堂」も、旧御所の天皇が住まわれていた宮殿「清涼殿

 

(せいりょうでん)」の一部を移築したもので、重要文化財に指定されています。

 

・この他、「観音堂」「経蔵」など、重要文化財に指定されている建造物も多数。かつて宇多天皇が住んでいた「御殿」も、明治から大正期に再建されており、優雅で美しい襖絵、庭園などに、宮殿文化が感じられます。

 

  • 桜の名所

京都市内の桜が散った4月中旬ごろから見ごろを迎える、遅咲きの「御室桜(おむろさくら)」が有名。樹高が2~3mと低く、花(鼻)の位置も低いことから「お多福桜」ともいわれ、親しまれています。中門を入った左手に御室桜約200本の林があり、五重塔を背景に満開になった眺めは、みごとの一言です。

  • 宿坊体験

仁和寺には、気軽に宿坊体験のできる「御室会館」があります。一般に、宿坊に泊まるには、寝間着やタオルなどを持参しなければなりませんが、こちらは、浴衣、フェイスタオル、歯ブラシセット、リンスインシャンプーなどが用意されており、夕食は京料理、朝食は和定食とふつうの宿泊施設と変わりありません。なのに、通常非公開の国宝「金堂」で、朝のお勤めに参加でき、有難い法話も聞けるのです。ぜひ、参加したいですね。

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